今回の相談者Lさん(30代)は短大を無事に卒業後、なかなか思う様な仕事に出逢うことが出来ず、フリーターとして生活をしていました。
しかし、20代後半の時、フリーターをこのまま続けていては、将来が不安という思いが強くなりました。
「どうせ、就職するならお洒落な雰囲気の店で働きたい。」
そんな簡単な考えで、誰もが知っている人気の飲食店を選び、無事に正社員となりました。
新人研修後、すぐに系列店の店長として勤務
実際に系列店の店長として勤務を始めると・・・。
・本部からの毎日の人件費の削減の協力という名の命令。
・そのことによる店舗の人手不足と長時間労働。
・挙句の果てには、主婦パートや学生アルバイトスタッフの不満や理不尽な要望。
Lさんは、店長だからという理由で言われ続ける日々の始まりだったのです。
就職した頃には、将来は自分の担当するお店は、居心地の良いお店にしたい。
同じ系列店舗の中でも、お客様に一番喜んでもらえる店舗にしたい。
その為にも、スタッフが働きやすい風通しの良いお店を目指そうと夢を持って勤務に励んでいました。
薄れ消えゆく向上心と自己崩壊へのカウントダウン
入社後から持ち続けてきたLさんの気持ちは、僅か勤務開始から数年もしない間に、徐々に薄れて消えかけていきました。
その頃のLさんと言えば、
・少しの時間でも仕事から離れて、何か違う他のことを考ていたい。
・本来の勤務以外での労働に費やされる時間が、あまりに長すぎてプライベートな時間が持てない。
・月末など締め日などには睡眠時間までも確保するのが難しい。
・人間関係がうまくいかなく自分を犠牲にするしかない。
・たまの休みすら必ず電話が掛かってくる。
フッとした瞬間に、このままこの仕事を続けていったら将来どうなってしまうのだろうと考えてしまうことが多くなっていきました。
これは、Lさんが特別というわけではなく、飲食店で勤務されている方の中には、同様の思いを持たれている方もいるのではないでしょうか?
なぜ、ここまで追い詰められてしまったのか?
Lさんに限らず、多くの飲食業界で悩んでいる方が同様な経験をし、その思いからブラック企業体質と思っているのではないでしょうか?
そして、体が辛くしんどいと感じている方も少なくはないでしょうか。
労働時間+αの時間が長く休みが少ない。
配属後の間もない期間は、店長を補佐する本部からのベテラン社員による店長業務のサポートもあったたそうです。
しかしそのサポート期間が終了すると、Lさんが一人だけ社員という状況でパート・アルバイト総勢10数名ほどいる店舗となったそうです。
そこからが長時間労働の始まりでした。
パートやアルバイトの出勤可能な予定に合わせたシフトを作成はしても、その後の変更も多くすんなりと思う通りにいきません。
パートやアルバイトの方への交渉術のテクニックやノウハウを、同じ系列店の管理者に相談したり、時にはどうにも対応できない時には、系列他店からヘルプスタッフを呼んだこともあったそうです。
その場しのぎから、禁断の一手を打つ事に・・・
しかし、そううまく毎回出来るはずはなく、Lさんは最終的に自分がシフトに入るという禁断の一手を打ってしまうことになったのです。
Lさんのお店も営業時間が朝8時からラストオーダー22時と飲食店ではよくある営業時間でした。
一人の人間が朝から晩まで勤務するとなれば、その疲れは相当なものになるのは当然です。
開店準備から始まり、お昼時や夕方の繁盛時は当然のことながら、人員不足による働き通し状態、営業が終わったからといっても、翌日以降の不足をなんとかするための交渉や見直しシフト作成。
それらをうまくこなしても事務仕事をして終わるのが毎日1時過ぎでした。
実際、そうなるにつれ、一日でもいいので休みが欲しいとの願いが日に日に強くなったと言います。
ベテランスタッフとの闘い
Lさんの配属された店舗では、長年働いてくれているベテランスタッフのAさんがおり、長年勤めていることもあり誰も口が出せないという状況でした。
Aさんは都合が悪い事を指摘されると・・・
「明日は都合が悪くなったので休みます」
などと、半ば急なシフトの変更ができないことを理解しているが無理難題を言ったりもしました。
普段はシフトにも協力はしてくれているので、もしこれ以上機嫌を損ねるようなことを言ってしまい、最悪な場合辞められては、余計に自分の労働時間が増えると考えてしまったい、Lさんはそれ以上何も言えなくなりました。
自分の意見を長時間労働を避けるがため、言えなくなってしまったのです。
そして、ついに身体がついていかない
単純な理由として、毎日の労働時間が長時間に及び一日中体を動かすのが大変になったことが理由です。
その上、忙しい週末などの時に限ってスタッフ不足が発生し、閉店まで自分が残らなければいけない状態でした。
閉店後の作業を終えると深夜2時近くになっている場合も多く、次の日の営業の為には朝5時に起きなければいけないという流れが、毎週の恒例行事の様に辛かったと言います。
この様な状況が続き、ついにある日、シフトのことを考えている時、いつもとは違う胃の痛みに気が付きました。
この痛みは、いつもとは何か違い、仕事をしていても集中できなくなり、常備薬を飲んだものの効かなかったと言います。
単なる胃の痛みではなく、きっと精神的に問題があるのではないかとの思いもあり、病院に行きました。
結果、精神的なところからくる胃痛ということでした。
そして、これがきっかけとなりLさんは、仕事の在り方を見直そうと決めたそうです。
仕事の在り方を見直すためのアドバイス
これは、飲食店の店長など管理職という立場で悩んでいる方に限ったことではありません。
お仕事を通じ何らかの悩みを持たれている方全般に言えることではないでしょうか?
改善が出来る環境があり、今後も続けて会社に従事したい場合
それはしっかりとした強い気持ちを持ち、自分の状況とその理由を伝えるべきです。
自分の身体のことや、このままでは辞めるしかない状況を伝えることです。
人間関係の問題や不安を感じていたり、労働時間の問題いうのは実は変えることが、時間と労力、そしてご自身の気力は必要だと思いますが、できると私は思っています。
ただ、今の環境が少しでも変われば続けても良いかもしれないと考えているのであれば、もう少し周りの方と話をしてみるのも良いかもしれません。
それに、しっかりとした理由や根拠があれば会社側は、あなたのために動いてくれると思います。
それでも何も動いてくれない様な会社なのであれば、そんな会社は辞めてしまうのも良いでしょう。
従業員を守ってくれない状況の会社の将来性や、何よりお客様へのサービス提供力はその程度だと気持ちを切り替え、自分のための新しい道を進むことをお勧めします。
この仕事に未練はなくキッパリ辞めたい場合
前記の様な状況からのさらなる一歩として、若しくは、自分がこの会社や業界と関わり会いたくないと心底思っているのであれば転職をするべきです。
しかし、いざ辞めるとなると再就職のための就職活動をしなければなりません。
その上、生活をするためのお金も必要以上にかかるかもしれません。
思い切った行動こそ、人生の転換の一歩
転職というものは、簡単に出来ることではないと思い、半ば自己犠牲的な労働環境を受け入れている方も多いと思います。
確かに、家庭や生活・そしてタイミングを考えると安易に決断できることではないでしょう。
でも、この状態が続くことによって将来はどうなるでしょうか?
何となく、嫌なことを継続するよりも人生を好転させるための努力の方が、俄然やる気と忍耐力は出てくるのではないでしょうか?
仕事と生活の比重を考え、新天地での一歩を踏み出すことも転職へのスタートラインかもしれません。